すがすがしい秋晴れのもと、田んぼの学校<収穫編>の朝を迎えました。田植えをした時は細く頼りなかったイネがすくすくと育ち、参加者たちも立派に実った稲穂に嬉しそうな様子でした。
今年も無事に<収穫編>を迎えました。
田んぼ体験も3回目。やってくる参加者も自然と笑顔になります。
「おはようございます!」子どもたちの元気な声に、受付も活気づきます。
授業に入る前に、これまでのイネの成長や田んぼ周辺の生き物についておさらいしました。
始業式の後、午前中は自然観察の授業が始まります。屋外の自然観察に出発すると、秋めいた田んぼの周りで生き物たちが冬に向けて準備をしています。 柿やピラカンサという樹木はオレンジに色づいています。これは種を遠くに運んでもらえるよう色で鳥たちにアピールしているのです。また夏の間たくさん見か けたクモの中には、産卵を終えて姿を消しているものもいました。
エノコログサの穂を掌の中で動かせば、まるで生きた毛虫のようにもぞもぞ出てきます。
ブラシのような穂をしたチカラシバ。その名のとおり、引き抜くのはなかなか力がいります。
夏の間、たくさん見かけたクモの姿はなく、堅牢な箱型の卵だけが残っていました。
草笛に挑戦! 二人ともとっても大きな音が出ていました。
イネの仲間を観察。「野生種」と「栽培種」の違いを学びます。お米はどちらかな?
叩きつけるとパラパラ種が落ちる野生種「イヌビエ」はイネの仲間。少しの衝撃でタネがとび散ります。
室内の自然観察授業では、殻つきの「モミ」をはじめ、玄米、胚芽米、白米など、さまざまな状態のお米を観察しました。この中でイネになれるのはどの 状態でしょう? 答えはモミの場合だけ。モミの固い殻が、土中の病原菌などから身を守る働きをし、やがて芽をだし、イネに成長するのです。他に柿の種子も観察しました。
お米がどういう構造なのか、イラストで確認しました。
イラストのとおりかな? モミの状態をルーペで観察します。「トゲトゲしているなぁ」
じっくり観察したら、モミの特徴を記録します。
モミの殻をむいてみます。固い殻を手でむくのは少し大変でした。
柿の実をタテに切ると、種の中に発芽すると双葉になる部分(胚)があるのがわかります。
切った柿の種子を顕微鏡でさらに観察。胚の状態を詳しく見てみます。
気温が30度を超えた午後、待ちに待った稲刈りです。今日の刈取りには大人も子ども鎌を使います。刈取り前に気持ちが高まりますが、参加者たちはケ ガをしないよう、鎌の扱い方にしっかり耳を傾けました。田んぼに入ると、イネを観察し、その後に稲刈りを開始しました。みんな夢中になってザクザクとイネ を刈り取りました。収穫後は昔の脱穀機である「千歯こき」や「こき箸」も体験しました。
田んぼ講師による稲刈りの実演。腰を落とし、鎌を使ってどんどんイネを刈りとります。
田植えをしたときはたった3本だったイネ。収穫の今日数えると、30本にもなっていました。
一つの穂にどのくらいのモミが付いているのかも調べます。その数なんと120個!
いよいよ稲刈りに挑戦です。 ちょっと力がいりますが「ザクザク、気持ちいい!」
昔の脱穀機「千歯こき」。かなり力がいりますが、この農具で脱穀作業がとても楽になったそうです。
「こき箸」は「千歯こき」よりさらに古い農具です。イネを挟んで手前に引いてモミを外します。
今日も一日の終わりに、その日一番印象に残ったことを日記にします。今日の日記で一番多かったのは、稲刈り体験でした。ひと株ひと株、鎌を使って刈 り取っていく経験はほとんどの方が初めて。また、「千歯こき」や「こき箸」を使った脱穀作業も初めて体験する方が多く、深く印象に残ったようです。田んぼ での授業は今日で最後。この半年、田んぼや田んぼの周りの生き物についてもたくさんのことを学びました。それらは、これからも参加者たちの心の中に残り続 けることでしょう。
自分の手でイネを刈取ったことは、今日一番の思い出に残ったようです。
締めくくりは、テーブルごとでの発表。楽しかった思い出を共有します。
脱穀体験で脱穀したモミは自由に持ち帰れました。お茶碗一杯分にするには、どれくらい必要かな。
出欠印を押してもらって、今日の<収穫編>は終了。次回は収穫したお米を使った料理に挑戦します。