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interview

「10年前から、ロックで飲んでます」酒食系ライター・泡☆盛子が語る日本酒ロックの魅力【日本酒ロックと私】

2021.03.31

燗に冷、ぬるに常温……と、酒質や等級に合わせて自在な飲み方で楽しめる日本酒。が、しかし、その歴史としきたりのハードルゆえか「入り口が狭そう」「なんだか難しそうで飲む機会が少ない」というビギナーの方も少なくないはず。

そんな、皆さんにぜひためしてもらいたい飲み方が、日本酒ロック。

たっぷりの氷を入れたグラスに日本酒を注いで飲む新たなスタイルは、日本酒ラバーの間で密かにブームになっている。日本酒の難しさや飲みづらさをグッと軽減する、言うなれば、ビギナーにもってこいな飲み方なのだ。

そんな、日本酒ロックの魅力を語ってもらう連載『日本酒ロックと私』の記念すべき第一回のゲストは酒食系ライター・泡☆盛子さん。「10年前から、このスタイルを日常的に楽しんでいる」と、語る泡さんに、日本酒ロックについて、余すことなくお話いただきました。

始まりは10年前、晩酌&食中酒の至高は日本酒ロック?!

今日は、よろしくお願いします。早速ですが、泡さんが日本酒ロックを飲み始めたきっかけからお聞きできればと。

もともと、普段から親しんでいる甲類焼酎や麦焼酎、リーズナブルなワインにビール……と、いろんな酒類に氷をオンして飲むスタイルにハマっていて。すごい単純な理由なんですが、暑がりなので冷たいお酒が好きなんですよね。日本酒も、燗酒よりひやや冷酒で飲むのがほとんど。

(笑)

とある日、自宅で晩酌をしていたときふと「冷たくして飲む日本酒が好きなら、日本酒に氷を入れてみるのもアリなんじゃないかな?」と、思いついたんですよね。で、実際やってみると、全然アリだった。それが10年くらい前だったと思います。

泡さん的にアリだ!と、思えたポイントはどこにあったのでしょうか。

酒類を問わず”いいお酒”というのは、氷を入れて多少薄まったとしても、芯にある旨味やコクが損なわれないんですよね。反対に、それなりのお酒でもキーンと冷やすと口当たりや飲み口がグッと良くなる。なので、日本酒とも相性がいいはずなんです。

なるほど〜、そうやって聞くと、がぜんアリに感じます。

私の場合、お酒を飲むシーンは、食事と合わせることも多いんです。なので、食中酒としてどうなのか?という点も考えるんですね。ビールやチューハイ、ハイボールは飲み口がよくグイッと飲めるので、食中酒としてかなり優秀。日本酒ロックも同様で、飲み口がいいので、食中酒としても最高で。

たしかに、食事中は冷たい酒でグイっとやるのがいいですよね。

そうなんですよ。ただ、あくまで日本酒ですからね。ビールやチューハイなどと比べると度数が高いので、調子に乗ってスイスイやりすぎると酩酊します。これは、注意してくださいね(笑)。

ご自宅以外で日本酒ロックを飲まれることはありますか?

お気に入りの酒場では、良く飲みますね。

メニューに日本酒ロックがあるお店なのですか?

残念ながら、ないんですよ。なので、まずはチューハイを頼んで、それを飲み干したタイミングで氷の入ったグラスをキープしつつ、追加オーダーした日本酒をそれに注いで日本酒ロックをつくる……という、なんとも手の込んだことをしています。

やり込んでますね。

あとは、ライターのスズキナオさんとパリッコさんが考案したチェアリング(公園や川沿いなどにマイチェアを持って行き、そこで景色を楽しみながら食べ飲みするスタイル)でも、日本酒ロックはいいんですよね。外飲み×日本酒ロックはいつだってお花見気分も味わえていいんですよ。それに、コンビニで売っているカップ酒と氷入りのカップを買えば、簡単につくれるので。

なるほど〜。勉強になります。

フルーティーな味わいで、日本酒ロックに最適な「松竹梅 香りカン 酵母877」

実は、そんな泡さんに飲んでもらいたい日本酒を用意していて。「松竹梅 香りカン 酵母877」という微発泡の缶入り商品なんですが、これ、ロックで飲むのもオススメな日本酒で。

興味あります!冷やが美味しいとか、燗に最適とかいろんなタイプの日本酒はありますが、これはロックにオススメって商品は、あんまりないですよね。

氷の入ったグラスも用意しているので、グイッとやってみてください。

日本酒ロックのつくり方はいたって簡単。グラスにたっぷりの氷をオンして、そこに日本酒を注ぐだけ。

日本酒ロックの取材と聞いていたので「これは飲める取材かも?」と、期待していました。遠慮なくいただかせてもらいます!

い、いかかでしょうか……?

素直に、美味しいですね。まったりとした味わいだけどキレがあって。まさに冷やして飲むためのお酒……といった印象です。日本酒の蔵で飲ませてもらう生原酒のような、できたての香りみたいな印象も。

独自酵母により、香りがフルーティーで豊かというのも、このお酒のウリなので、嬉しいです。

そう。酵母によるバナナのような香りがあるんですが、いわゆる果汁や香料入りのお酒と違ってわざとらしくない感じ。極端な香りじゃないんですね。こうしてグラスいっぱいに日本酒を注いで冷やし続けながら飲むでも全然良さそうですが、漫画『酒のほそ道』の著者、ラズウェル細木先生がエッセイ漫画で紹介されていた、日本酒ロックの飲み方にも合いそうです。

ラズウェル細木先生が紹介していたスタイル?

氷満杯のグラスを用意するところまでは同じなんですが、グラスになみなみと注がず、2〜3口分だけ注ぐんです。で、飲み干したらまた少しずつ注ぐ。こうすることで、氷が溶けて薄まることを最大限に回避しつつ、しっかりと冷えた状態で飲める。これが先生が紹介していたスタイルです。香りがいいお酒なので、より薄めずにいただくのもいいかなと。

なるほど、僕も試してみます!

揚げ物に、お菓子にフルーツ。日本酒ロックは、ペアリングの可能性が無限大。

日本酒ロックのもう一つの魅力は、料理とのペアリング。普段は日本酒に合わせない料理との相性もいいらしく。ぜひ、試してみていただきたくて。

わー!ご飯も用意いただけるなんて。最高の取材じゃないですか。コンビニのホットスナックにスナック菓子。チーズに生ハムにいちご……たしかに、普段日本酒に合わせるアテとは、全然違うタイプの面々が揃ってますね。

そうなんですよ。早速試してみていただけると。

まずは、揚げ物から試していきますね。ビールやハイボールほど飲み口が強くないので、鶏肉の旨味と香辛料の風味が立ってきますね。フライドチキンは衣の存在感が少し邪魔するかも……変わり味なナゲットは少し喧嘩している気がします。ただいずれも脂っ気の強さを冷え冷えの日本酒ロックが流してくれるので、揚げ物との相性は良さそうですね。とんかつやチキン南蛮とか、甘みの強い揚げ物との相性も良さそうです。

たしかに、合いそうですね!

次は、スナック菓子にいってみましょうか。まずは、サワークリーム味のポテトチップスから。ザクザクとした食感と、冷たい日本酒。これはいい。やや甘みのあるフレーバーなのもいいのかも。麦チョコは、めちゃくちゃ合いますね。香り酵母877の甘みと繋がっている感じがするので、かなりオススメです。チョコ系は全般いけそう〜!

甘みと甘みが繋がるんですかね。お菓子との相性がいいと、アテがリーズナブルに設計できて懐にもありがたい!

ラストいってみましょうか。生ハムにスモークチーズ、そしていちご。完全にワインやシャンパンのアテですね。生ハムは、冷たくて甘いお酒が塩気を和らげてくれて、いい感じです。スモークチーズの風味とミルキーさも、お酒の淡い酸味と高相性。で、いちごですが、フルーツの持つ酸味と甘み、そしてお酒の甘みと酸味、グッと冷えた飲みやすさも相まって、優勝です。いろんな季節のフルーツと合わせてみたいなあ〜!

自然な甘みと酸味があるものとの相性がいいんですね。

いろいろ、試させてもらいましたが、どれも合うなあ!という品ばかりでした。しいていうなら、香辛料が強すぎるものは、少し喧嘩してしまうなあ〜という感じがしましたね。ただ、これだけ幅広い料理と合わせてみることで、日本酒ロックの可能性の広さに改めて驚きました。

お店にも、勧めてほしい。日本酒ロックという、新たなスタイル。

日本酒ロックとの出会いから始まり、試飲や試食……と、いろいろ盛りだくさんでしたが、どんな人に試してみてもらいたいですか?

まずは、日本酒に苦手意識のある人。断然飲みやすくなるので、この飲み方から日本酒にハマってもらえると良さそうだな、と。

なるほど。日本酒ロックをもっと広めていくには、どうするのがいいと思いますか

これは、やっぱりお店ですね。私たちはあくまで飲む側なので、やはり販売する居酒屋さんや酒屋さんが勧めることが一番の近道な気がしています。お店にあって、店主さんが「これ、飲みやすいんで、試してみてください」という具合に広めていけると、その店を中心にどんどん広まっていく。そこからブームになれば、他のお店でも扱うようになりますよね。やはり、それが認知までの一番の近道だなって。

たしかに。売る側が促進してくれれば、認知が広がるっていうのは、最もな意見ですね。今日は、長い間ありがとうございました!

いかがでしたか?10年前から日本酒ロックを飲み続ける、ライターの泡☆盛子さんによる、新たな飲み方提案はもちろん、意外とフルーツとの相性が抜群であるということもわかったり……。初回から内容満点な展開となりました!

『日本酒とロックと私』は次回以降も、日本酒ラバーなあの人や、日本酒はちょっと……な、ビギナーまで、剛柔自在な酒ラバーが登場予定です。それでは、第2回『日本酒とロックと私』乞う、ご期待!

取材・文・写真:納谷ロマン