人々の意識の変化とともに、酒の世界でも大きな嗜好の変化が起こり始めていた。その震源地となったのはアメリカであった。1974年アメリカで、ウォッカの消費量がアメリカの国民酒であるバーボンウイスキーの消費量を抜いたのである。これに続いてヨーロッパでも無色透明の酒がブームとなり、この波は世界各国を席巻することになった。このニュースは「白色革命(ホワイトレボリューション)」と称され、人々はウォッカ、ジン、テキーラなど無色透明な酒をベースに思い思いのミックスドリンクで楽しむようになった。「この波は必ず日本にもやってくる」―宝酒造は信じた。そして、無色透明で純粋な酒、新しい焼酎こそが日本のホワイトレボリューションを先導すると確信したのである。