第1章:焼酎苦難の時代
今でこそ「焼酎ブーム」と騒がれ、日本の国民酒として親しまれている焼酎だが、戦後、「庶民の酒」として一時の盛り上がりを見せた後、需要は減少し、「純」の発売前夜の1970年代前半には焼酎の需要はどん底の状態であった。
高度経済成長により人々の暮らしが豊かになると、日本人の食生活はいわゆる「欧米化」し、酒の世界ではビール、ウイスキーが台頭した。その反面、焼酎は不遇の時代を迎える。戦後のバクダン(メチル酒)、カストリ(密造芋焼酎。粕取焼酎とは別物)などと呼ばれた粗悪酒のイメージが長くつきまとい、焼酎は減少の一途をたどった。
「純」の開発はこんな時代からスタートする。