おいしさづくりの基礎知識本みりんに関する基礎知識

本みりん

料理によく使われる本みりんですが、本みりんを使うとどのようなよいことがあるのでしょうか?
ここでは、本みりんの持つ調理効果について説明します。

本みりんは、もち米、米こうじ、醸造アルコール(または焼酎)を仕込んだもろみを、ゆっくりと熟成させた後、搾ってできる酒類です。
熟成期間中に作られた多種多様な成分を含む本みりんには、さまざまな調理効果があります。

本みりんの成分

では、本みりんにはどのような成分が含まれているのでしょうか?
主な成分は下にある5つの成分です。

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これらの成分の働きで、本みりんのさまざまな調理効果がもたらされます。
次からは、その調理効果について説明します。

本みりんの調理効果

では、本みりんにどのような調理効果があるかを見ていきます。
本みりんには主に以下の7つの調理効果があります。

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それぞれの調理効果について、本みりんに含まれるどのような成分が働くことでもたらされるか、みていきましょう。

①複雑で奥行きのある甘みをつける

本みりんを用いることで、食材に複雑で奥行きのある甘味をつけることができます。
成分がショ糖のみである砂糖に対し、本みりんにはブドウ糖やオリゴ糖などの多くの種類の糖が含まれるので、料理に複雑で奥行きのある甘みをつけることができます。
こうしたさまざまな糖は、本みりんが熟成される過程で作られていきます。

②てり・つやをつける

本みりんを用いると、食品にてり・つやをつけることができます。
砂糖だけでは出せないてり・つやが、本みりん中のさまざまな糖やアミノ酸の働きによってもたらされます。

複雑な糖組成とは?

ここで言う複雑な糖組成とは、どのようなものなのでしょうか?
本みりんの糖組成と、砂糖の糖組成をグラフに表すと、下のようになります。

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本みりん+しょうゆ、または清酒+砂糖+しょうゆでぶりのてり焼きを作り、光沢度(てり・つやを数値化したもの)を測定した事例をご紹介します。

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③コク・うまみを付ける

本みりんを使用することで、料理にコク・うまみをつけることができます。
本みりんにはこれまで紹介したさまざまな糖の他に、多種類のアミノ酸が含まれています。それらのアミノ酸には、うまみや甘み、その他さまざまな性質を持つものが含まれるため、こうしたコク・うまみが引き出されるのです。

④塩や酢のカドをとってまろやかにする

塩や酢を使った料理は、そのバランスが悪くなってしまうとカドが立ってしまい、おいしさが損なわれてしまいます。そういう時に本みりんを使用すると、本みりんに含まれる糖とアミノ酸などの働きによって、塩・酢のカドが取れ、まろやかに仕上がります。

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⑤味をしみこみやすくする

本みりんは酒類であるため、アルコールを含みます。アルコールには、材料に浸透していく際に他の調味料やうまみを一緒に浸透しやすくさせるという効果があるので、料理に本みりんを使用すると、味のしみこみがよくなります。
ちなみに「みりん風調味料」という調味料がありますが、こちらは本みりんと違ってアルコールは含まれていないため、味のしみこみはよくなりません。

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⑥素材の風味をよくする

本みりんに含まれるアルコールには、揮発していく際に不快なにおい成分も一緒に取り除いてくれる効果(共沸効果)があります。
また、本みりんに含まれる糖、有機酸などは、におい物質と反応し、においのしない物質に変化させます。
本みりんを使用すると、これら2つの効果で食材の不快なにおいが除かれます。
さらに、本みりんを醸造する際に生まれる香気成分などにより、食材に上品な香りをつけることもできます。

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⑦煮崩れを防ぐ

図 煮物料理での煮崩れの有無は、料理の出来栄えを決める要素の一つです。
例えば、肉じゃがに本みりんを使用するとじゃがいもの煮崩れを防ぐことができます。
じゃがいもの煮崩れは、じゃがいもに含まれるペクチンという物質(細胞壁の構築や細胞同士をつなぎとめている)が、加熱によって溶けてしまい、細胞壁が壊れたり、細胞同士の接着がはがれたりすることで起こります。
本みりんに含まれるアルコールは、ペクチンを溶けにくくする作用があり、煮崩れを防ぐのに大きく寄与します。
また、アルコールを単独で使用するよりも、糖とともに用いることで相互作用が働き、より効果的に煮崩れを防止することができます。
本みりんを使用すると煮崩れを効率的に防ぐことができます。

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【参考文献】
河辺 達也、森田 日出男「みりん(1)」,『日本醸造協会誌』第93巻第10号, (財)日本醸造協会.
河辺 達也、森田 日出男「みりん(2)」,『日本醸造協会誌』第93巻第11号, (財)日本醸造協会.
中村 光良、松田 秀喜「本みりんの調理効果とその利用」,『食品工業』2003.11.5, 光琳.