おいしさづくりの基礎知識食品の見た目に関する基礎知識

食品の外観

下に2つのぶりのてり焼きの写真がありますが、どちらがよりおいしそうに見えますか?

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続いて、下の焼きとりの写真ではどちらがよりおいしそうに見えますか?

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おそらく多くの方が、ぶりのてり焼きは右、焼きとりは左の方がおいしそうに思えたのではないでしょうか?

お客様に「おいしそう」、「食べてみたい」と思っていただくために、食品の外観は重要な要素です。 ここからは、食品の外観について説明します。

食品の外観を決める要素:てりつや

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さきほどのぶりのてり焼きの写真ですが、多くの方が右を選ばれたかと思いますが、その理由はなんでしょうか?
右のてり焼きの方が「てり・つやがあって」おいしそうに見えたのではないでしょうか?

てり焼きに代表されるように、食品の外観においててり・つやは重要な要素となります。
食品のこうしたてり・つやはどのようにして生じるのでしょうか?

糖類によるてりつや付与

てり焼きや煮物などの食品にてり・つやを付与したい場合は、調味液や煮汁に糖類を含ませます
これは、糖類が食材の表面に膜を作り、コーティングすることで水分を保持し、てり・つやが生じるからです。

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糖類はさまざまな成分で構成されている方が好ましく、砂糖(ショ糖という単一の成分)よりも、本みりんのようにさまざまな糖類が含まれている調味料を使う方が、てり・つやをより効果的につけることができます。

食品の外観を決める要素:焼き色

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こちらの焼きとりの写真ですが、こちらは多くの方が左を選ばれたと思いますが、その理由はなんでしょうか?
左の焼きとりの方が「焼き色があって」おいしそうに見えたのではないでしょうか?

「焼く」という調理方法はさまざまな調理方法の中でも最も基本的なものですが、焼き色の付き方で食品の印象が大きく変わるため、大変重要な要素の一つです。
では、「焼き色」が生じるとき、どのようなことが起こっているのでしょうか?

メイラード反応

食品を焼いたときにできる「焼き色」は、素材そのものが焼けること以外に、メイラード反応という化学反応が関与しています。
メイラード反応とは、アミノ酸などのアミノ化合物と、還元糖(ブドウ糖、果糖、乳糖など)が結合する反応で、加熱によって促進されます。この反応の結果、メラノイジンという褐色物質が生じます。このメラノイジンが焼き色に関与しています。

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おいしそうに見えるための焼き色には、こうした化学反応が関与しています。

食品の外観を決める要素:煮崩れ

食材が煮崩れしていないか、というのも食品の外観の重要な要素です。 例えば肉じゃがは、「煮崩れを起こしやすい料理」の代表的なものですが、そもそもじゃがいもの煮崩れはなぜ起こってしまうのでしょうか?

火加減の問題

じゃがいもに限らず、全ての煮物に言えることですが、煮崩れが起きてしまう大きな要因の一つは、強すぎる火力です。
強すぎる火力で煮込んでしまうと、材料が鍋の中で動き回り、その衝撃で材料の形が崩れてしまい、煮崩れが起こります。
煮物を作る際は、まず火加減に注意し、材料が動かないような比較的弱い火加減で行うことが大切です。

加熱による細胞壁の崩壊

じゃがいもには、ペクチンという物質が含まれています。ペクチンは、細胞壁の構築や細胞同士をつなぎとめる役割を果たしています。
じゃがいもを加熱すると、このペクチンが溶け出し、細胞壁が壊れたり、細胞同士の接着がはがれたりします。
そうしてじゃがいもの形が崩れていき、その結果煮崩れが起こります。

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細胞壁の崩壊を防ぐには

図このように、煮崩れの原因となる細胞壁の崩壊ですが、防ぐためにはどうすればよいのでしょうか?
そのためには、アルコールと糖の2つの力を利用するのが有効です。
アルコールには、加熱した時に溶けてしまうペクチンを溶けにくくする作用があり、煮崩れを防ぐのに大きく寄与します。
また、アルコールを単独で使用するよりも、糖とともに用いることで相互作用が働き、より効果的に煮崩れを防止することができます。
本みりんにはアルコールとさまざまな糖が含まれているので、煮崩れを防ぐためにぴったりの調味料です。

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【参考文献】
河辺 達也、森田 日出男「みりん(2)」,『日本醸造協会誌』第93巻第11号, (財)日本醸造協会.