今年最初の台風が通り過ぎた週末、生徒を待つ「宝酒造 田んぼの学校」の受付に、元気な子どもの声が遥か向こうから聞こえてきました。手には補虫網や虫かごを持ち、一本道を駆けてきます。田んぼの周囲には、彼らにとってワクワクするものがいっぱいあることが、もうすっかりわかっている様子です。中には寄り道のせいでなかなか受付にたどり着けない生徒たちもいて、草取り編は、始まる前から早くも盛り上がるのでした。
元気な生徒たち。大はしゃぎで走ってやってきます。
2回目となると、緊張もすっかりほぐれています。受付での表情も柔らかく、今日が楽しみです。
初夏の田んぼは水面にアメンボ、背泳ぎのマツモムシ、すばしこいオタマジャクシなどとても賑やかです。そして田んぼの畦にはアオガエルの卵がありました。孵化したオタマジャクシたちが困らないよう水田のすぐ近くに卵を産むなんて、アオガエルも考えたものです。
「とっていい?」
とても珍しいカエルの卵。持って帰りたくなる気持ちもわかりますが、自然観察講師の方は「このままにしておいてあげようね」と諭したのでした。
アオガエルの卵。ふんわりした白っぽい泡に守られて内側に弾力のある卵がありました。
「何が獲れた?」と、社員サポーターも興味津々!
捕まえたコガネムシの腹を2way虫めがねで観察します。
雑草の中には畳の元となるい草も。「持って帰って畳を作る!」なんて張り切る生徒もいました。
自然観察で出会える生き物をチェック! ケロッ田と田んぼの仲間たち
公民館に持ち帰った生き物を、今日は顕微鏡で観察します。水辺で捕まえたアメンボの脚を見ると、なぜ彼らが水上をスイスイ進めるのかがわかります。ちぎれたバッタの脚やドクダミの細かな花など、肉眼では見えない虫や草花の世界は、驚きと発見に溢れていたのでした。
田んぼの周辺で獲ってきた生き物を双眼実態顕微鏡にセット。どんなふうに見えるかな。
双眼実態顕微鏡でドクダミを観察。実は棒状のプチプチした部分が花で、花びらに見える白い部分は苞(ほう)と言って花びらとは違うものです。
午後の気温は25度、水温は14度で、田んぼに入るにはちょうどいい温度です。
田んぼの学校の草取りは、実は“草埋め”です。はびこる草は引き抜きますが、それ以外は泥の奥深くに埋めて田んぼの栄養にするのです。生徒たちは田んぼ講師の方に教わったとおり、田んぼに手を差し入れます。草抜き器の田打ち車も家族ごとに体験しました。
「前より田んぼの中があったかかった」
生徒たちは、自然の声を聴くのもうまくなっています。
「大きくなっている?」「44センチ!」なんと4月から倍に成長していました。
お父さんと力を合わせて田打ち車に挑戦! 結構重たく動かすのは大変!
腰をかがめてせっせと草取り。草をうめるのは土を混ぜて田んぼの中に酸素を送る意味もあります。
田んぼから上がると、こうして山から流れてくる清水で足を洗います。
田んぼから上がった生徒たちは、まだまだ元気いっぱい。振り返りで描く絵日記は、前回より絵が大きく、線ものびのびとしています。楽しかったことを聞くと、「田打ち車!」とか「自然観察でカエルをみたこと」とすぐに答えが返ってくるのも、田植え編より一歩も二歩も進んだ感じです。
次に会うのは秋の刈取り編。田んぼのイネに、夏の暑さを無事乗り越えてほしいと願いつつ、生徒たちは解散したのでした。
草取り編の振り返り。何が一番楽しかったか、グループで発表し合います。
草取りが終わっても、今日はまだまだ元気!