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宝酒造 田んぼの学校

田んぼの学校レポート(2011年度)

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第1回 <田植え編> 日にち:2011年5月14日(土)/場所:京都府南丹市園部町の田んぼ

入学式

2011年5月14日土曜日。京都府南丹市園部町にある「TaKaRa田んぼの学校」の体験田んぼで、第1回の田植え編が開催されました。8年目の今年は初めて京都府で開催できることとなり、近畿一円から2000名近い応募がありました。その中から抽選で選ばれた25家族83名が入学しました。

「田から」の恵みに感謝 自然の尊さを次世代に

入学式が行なわれたのは、新緑の里山風景が広がる体験田んぼ近くの「仁江公民館」。矢野雅晴(やのまさはる)校長のあいさつで、2011年度の「TaKaRa田んぼの学校」が始まりました。
「宝酒造の『宝』は「田から」を語源としています。日本人は昔から、田んぼからの恩恵をかけがえのない宝物として大切にしてきました。当社の事業も田畑からの恵みを得て成り立っています。その恵みに感謝するとともに、田んぼの大切さ、自然の尊さを次世代に伝えていきたいという思いから、この学校を開校しました。米づくりや自然観察などを通して、自然の大切さや生きものの命のつながりを学んでいただきたいと思います」とのお話がありました。

農村の暮らしや豊かな自然にふれる

続いて、京都府南丹広域振興局の和田健(わだたけし)局長から「農業体験を通して、農村の暮らしや自然環境にふれ、自然の大切さ、農業の大切さに関心をもつ機会にしていただければと思います」とのご挨拶。
佐々木稔納(ささきとしのり)南丹市長からは「この豊かな自然はただ残っているのではなく、地元の皆さんの努力によって守られているのだということを心にとどめていただければ幸いです」とご挨拶がありました。

命の宝箱「田んぼ」から命のつながりを学ぼう

最後に、NPO法人「森の学校」の佐伯剛正(さえきこうせい)さんから「イネは『命(いのち)の根(ね)っこ』の『い』と『ね』が語源とも言われています。生きものがいっぱいの田んぼは命の宝箱のようなものであり、『自然かんさつ』は生きものの命の仕組みを学ぶことから『命の教育』とも言えます。4回の授業を通して命のつながり(生物多様性)を学んでください」と話があり、「身近なタンポポや1枚の葉っぱを見つめることから命のつながりを学びます。その中から生きる力(豊かな感性と知恵)を育んでほしいと思います」という言葉でしめくくりました。

そして、農業指導をしてくださる地元農家の谷義治(たによしはる)さん、中西章夫(なかにしあきお)さん、田中重子(たなかしげこ)さん、小寺千鶴(こでらちづる)さん、谷耀子(たにようこ)さんや、自然かんさつの指導をしてくださるNPO自然観察指導員京都連絡会のみなさん、地元看護師の小寺孝子(こでらたかこ)さんが紹介されました。

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    朝の受付から「田んぼの学校」の一日が始まります。

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    生徒のみなさんを前に挨拶する矢野校長。

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    これから始まる授業に期待をふくらませ、熱心に話を聴きます。

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    NPO法人「森の学校」佐伯さんから1年間の授業の紹介です。

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    農業指導をしてくださる地元の農家の方々。

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    NPO自然観察指導員京都連絡会のみなさん。

田植えたいけん

靴をぬいで、いざ田んぼの中へ!

入学式の後は2つのグループに分かれ、午前と午後交替で田植えたいけんをしました。
当日のお天気は晴れ、午前は気温24℃、湿度35%、水温16℃、午後は気温22℃、湿度30%、水温14℃。植えるのはもち米。育てたお米は、田んぼの学校特製の本みりんになります。20cmほどに育った苗を手で植えていきます。田んぼに入る前に、地元農家の谷さんたちによって田植えの実演がありました。苗のかたまりから3本ほどとって、親指、人差し指、中指でつまみ、3cmほどの深さに垂直に植えていきます。苗の間隔は20cm。『さん(3本)・さん(3cm)・に(20cm)』と覚えます。「子どもは足のサイズ、大人は手の大きさを苗の間隔の目安に」との説明がありました。
いよいよ田んぼに入ります。ほとんどの人が初めての田植えなので、やや緊張ぎみ。おそるおそる泥の中に足を入れていました。初めは泥に足をとられて思うように動けなかった子どもたちも、すぐに慣れて「ヌルヌルして気持ちいい」と大はしゃぎ! 少し時間がたつと、どんどん進めるようになって、次々と苗を植えていきました。中には、お父さん、お母さんより早く植え終わり、「カエル捕まえるわ!」、「泥だんご作ろー」と田んぼでの遊びを楽しむ子どもたちの姿もありました。

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    地元農家の方々による実演を見ながら、田植えのコツを教わります。

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    はじめての田植え、がんばるよ! 苗の束を手にドキドキ、ワクワク。

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    この20cmほどの稲がどれぐらいに育つのかなー、楽しみ!

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    田んぼの中に足を踏み入れて、田植えスタート!

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    家族で力を合わせて田植えに挑戦します!

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    こうして腰を落とすと、うまく植えられるよ。

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    土の中2~3cmほどの深さに苗を植えつけていきます。

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    田植えを終えて、田んぼのあぜで足洗い。

自然かんさつ ―野外―

五感をフル活動させ、発見の旅へ出発!

2つに分かれたグループがさらに2~3家族ずつの小さな班に分かれ、少人数で講師やサポーターと一緒に田んぼの周辺を観察してまわります。始めにルーペ(虫眼鏡)を受け取り、「生きものや植物を見つけたら、その場でどんどん観察してください。いつもよりちょっと注意して、聞いて、触って、見て、においをかいでください。すると、いろんな驚きや発見がありますよ」と講師の方からお話がありました。いよいよ発見の旅のスタートです。

あぜ道や川で、カエルやテントウムシ、ヒラタグモ、ミジンコなどの生きものや、カラスノエンドウ、フジ、ノビル、イタドリ、アカメガシワなどの植物などを見つけては「これなにー?」「こんなん見つけた」と講師の方に見せる子どもたち。タンポポの花びらをルーペでのぞいた子どもからは、「わー、細かい毛がいっぱいや!」「おしべとめしべが両方あるわ!」と驚きや感嘆の言葉が次々と飛び出しました。“タンポポは小さな花の集まり”と講師の方から聞いた子どもたちは、「へぇ~、花びらやと思ってたのが、ひとつひとつがタンポポの花なんや」と驚いた表情でフィールドノートにかき留めていました。
カエルを捕まえた子どもに「これはトノサマガエルや。背中に黄色い線があるんやで」と教えられ、「ほんと!」と楽しそうに観察するお母さんの姿も。「普段は何気なく見ている生きものや植物も、細かく観察すると新しい発見があって楽しいですね」と子どもに負けないぐらい目を輝かせていたのが印象的でした。

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    どんなにおいがするのかな? 五感をフルに使って自然を観察します。

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    「それなぁに?」とみんな興味津々。

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    ルーペを使って、その場で生きものや植物を観察します。

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    草笛に挑戦。やったー! 葉っぱで音が出せたよ!

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    講師の方のお話に、みんなすっかり引き込まれています。

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    えっ、カエルの上にアメンボ!

自然かんさつ ―室内―

野外授業のふりかえり

野外での自然かんさつの後は仁江公民館へ戻り、各班が見つけてきた生きものや植物のお披露目をしました。白布の上に一斉に並べます。みんなで白布の周りに集まって、「へぇ~、そんな虫もいたんや」「こっちのタンポポと形がちがう!」と口々に言いながら、ズラリと並んだ虫や草花をのぞき込んでいました。
続いて、講師やサポーターから「セイヨウタンポポはどうやって日本に入ってきたのでしょうか」とクイズ形式で出題され、自由に意見を出し合う子どもたち。1つ1つの回答に対し、講師の方から丁寧な解説がありました。そして、タンポポのわた毛は、風にのってフワフワ飛ぶだけではなく、目的地に着いたらペタッと貼りつき、種が動かないようにして次の命をつなぐ仕掛けがあることも学びました。

草花名刺づくり

室内での自然かんさつ後半は、植物の花や葉を使って「草花名刺づくり」です。草木染めで知られるように、植物の細胞の中には、さまざまな色素が含まれています。きれいな色の花びらや葉っぱをカードにこすりつけて、紙を染めたり、名刺台紙の上に葉っぱを置き、その上を紙で押さえて石などでこすりつけ、スタンプのように形を写したりします。その後、カラーペンで模様や名前をかけば「草花名刺」の完成です。まず、お父さん同士が名刺交換のお手本を披露。それにならって子どもたちも、「はじめまして」「よろしくお願いします」と周りのお友だちと草花名刺を交換する姿が、会場中で見られました。

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    野外で見つけた草花や虫のお披露目です。

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    講師の方のお話を聴きながら、草花の知恵に驚きの連続。

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    外でつかまえた虫をあらためてじっくり観察します。

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    へぇ~、こんな虫もいたんや。みんなが見つけてきた生きものに興味深々。

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    名前をかいてぼくの名刺を作ります。

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    草花の色を使って、こんなきれいな名刺ができたよ!

日記づくり・ふりかえり

今日1日体験したことを思い出し、「ふりかえりシート」に記録します。「初めての田植えで、まっすぐ植えるのが難しかった」、「田んぼの中はフワフワして気持ちよかった」、「カエルを初めてさわれた」など、それぞれが1日を通して強く印象に残ったこと、驚いたこと、楽しかったことなどをカラーペンなどを使って絵と文章にしました。かき終えたら、各班で発表会です。1人1人の発表に対してみんなで拍手を送りました。こうして1日をふりかえり、絵日記に表現することによって、子どもたちは体験を通して学んだこと、感じたことを忘れないで、大切に心の中に刻んでいきます。

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    今日1日の体験を思い出し、ふりかえりシートに絵や言葉でかきとめます。

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    絵日記にすることで、心に残ったことをずっと覚えておくことができます。

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    完成したふりかえりシートを手に、みんなの前で発表します。

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    お友達の発表を聴きながら、楽しかったできごとを思い出して笑顔がこぼれます。

終業式

田植え編の最後は、終業式でしめくくりました。宝酒造の木下勝仁(きのしたかつひろ)環境広報部長から「今日1日ありがとうございました。田植えや自然かんさつなど、体験を通して、みなさんはどんなことを感じたでしょうか。今日発見したこと、感動したことをぜひお友だちに話してくださいね」という挨拶がありました。少し日に焼けたみんなの顔は、朝の入学式のときの緊張ぎみの面持ちとは打って変わって、少したくましくなっているようでした。

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    木下部長の終業式の挨拶です。

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    最後にケロッ田の出席印を押してもらいました。

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    楽しかった! 田んぼの近くにはたくさんの動物や虫、植物がいることが分かった! 田んぼの土はやわらかくて良かった。今日のじゅぎょうで、命はどこにでもあるからそれを大切にしていこうと思った。

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    田んぼで田植えをしたのははじめて。くつ下はドロドロ。カエルもクモも見た。と中で先生に手伝ってもらった。くつ下をあらっていたらながされてしまった。だけど、楽しかった。

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    さいしょは、はいるのはふあんだったけど、はいったらたのしかった。土がふわふわだった。あったかかった。

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    みんなでたうえをしてはまったけど、どろんこでたのしかったのでまたがんばりたいとおもいます。かえるもくももいました。

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    田植えはむずかしかったです。でもとってもたのしかったです。食べ物を作るというしごとはとってもじゅうようなしごとだと思います。

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    田んぼの学校へ行くと、始めに入学式がありました。そして自ぜん観さつへ行きました。花をとってきて、花をこすって色を出して、きれいなめいしも作りました。うれしかったです。次に、イネをうえに田んぼへ行きました。少しずれたけど、植えることができてうれしかったです。また、田んぼの学校へ行きたいです。

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