2004年に始まった「お米とお酒の学校」は、「田んぼの学校」としてリニューアル。今年から育てるお米もうるち米(通常の白米として食べるお米)からもち米に変わり、「ツキミモチ」という品種を育てます。田んぼの学校に使うのは5反。約2500キロのお米が収穫できる予定です。
ほとんどの人が初めての田植え体験。子どもたちが率先して田んぼに入り、目印のラインに従って植えていきます。田植えのときには2~3本と頼りないイネですが、成長途中で株わかれして20本以上に増え、最終的には2千粒ものお米を実らせます。
田植えの前に、苗の長さを測ります。これが秋にはどれくらいまで成長するのでしょう?
泥の中は思ったより温か。でも足を取られないように歩くのが大変です。
自然観察では、田んぼの周囲の草花や生き物を観察し、その後は自然の花や葉、茎などを使ってさまざまな色を付け、名刺をつくりました。できあがった名刺は、周りのお友達と交換してお互いに自己紹介します。これから一年、よろしくお願いします!
花をこすって色を出します。
どうぞ、よろしく!
田植えから2か月弱。苗は40センチほどに成長し、田んぼにはさまざまな雑草が生え始めています。雑草をそのままにしておくとイネの栄養分を奪ったり、イネに日が当たらなくなったりするので、草取り編では、雑草を取り、土の中に埋めていきます。抜いた雑草は、丸めて泥の中に埋めていくのです。こうすることで草は土中の微生物に分解され、イネの栄養分になります。
草取りは手作業で行うのが基本。腰をかがめたままのきつい作業です。
イネの間をすすむ手押しの草取りマシーン「田打ち車」。明治中期に農家の方が考案しました。
お米は実る直前、稲穂の中で白いミルクのような状態になります。その頃のイネを狙ってスズメたちが田んぼにやってきます。そのとき稲穂を守ってくれるのが、かかしです。
かかしは竹の骨組みに稲ワラを巻き付け、古着を着せて作ります。家族ごとに、さまざまなデザインのかかしを田んぼに立てると、体験田んぼはとてもにぎやかになりました。
家族で協力してかかし作り。かかしは立てると大人と同じくらいのサイズになります。
できあがったかかしも一緒に、田んぼの前で記念撮影。
成長したイネは茎が増え、一株の茎は30本ほどになっていました。収穫量は2500キロを上回る豊作ということです。農家の方からイネ刈りの方法を教えてもらい、一株ずつカマで刈っていきます。刈ったイネは4株分ほどをまとめ、「はざ」と呼ばれる竹の台にひっかけます。これを「はざがけ」といいます。そして「こきばし」や「千歯こき」といった古い道具で脱穀体験も行いました。(178)
イネの株をかき分けながら刈り取っていきます。
刈り取ったイネは乾燥させるために「はざがけ」していきます。
収穫したもち米の一部は、宝酒造の工場で本みりんにしますが、そのラベルは子どもたちの手作りです。ラベルは紙すきして、紙から手作りします。
刻んだワラと重曹を煮て布で絞り、ワラ玉を作ります。これをミキサーで砕いてノリを混ぜれば、ワラ紙を作ることができます。網から紙を剥がすなど、細かい作業が要求されるワラ紙づくりに、大人も子どもも真剣に取り組んでいました。
ワラを溶け込ませた水槽に網を挟んだ木枠を沈めていきます。
木枠を引き上げ、枠からワラの繊維をはずしていきます。
宝酒造の工場に集合した今回は、工場見学や工場内でのエコ活動について学習しました。その後は待ちに待ったおもちパーティーのはじまりです。春の田植え、夏の草取りを経て、秋に収穫したもち米で、今日はもちつきを行います。よろけたり、臼に杵をぶつけたりしましたが、力を合わせて、おいしいおもちがつき上がりました。できあがったおもちは、小さく丸めて、磯辺もちや、あんこもちにして食べました。
いよいよもちつきスタート。みんな力一杯杵を振り上げています。
のりを巻いてがぶり! お米から自分たちで作ったおもちの味は格別!
収穫したもち米は、京都にある宝酒造の工場で本みりんに生まれ変わりますが、この本みりんのラベルは収穫編で作ったわら紙を使い、子どもたちが作ります。田んぼの学校での思い出やお父さん・お母さんへの感謝など、思い思いの絵やことばを描き込んで、世界に一つのラベルを作りました。
凸凹の多いわら紙に絵を描くのはなかなか大変。
ラベルができあがりました!