親子で楽しみながら自然の恵みを学ぶ「お米とお酒の学校」がいよいよ開校しました。やや肌寒い天候の中、生徒たちは裸足になり、こわごわ水田に入ります。田んぼの泥は黒いクリームのようになめらかで柔らか。なかなか思うように前に進めませんが、「温かくて気持ちいい」と、多くの人が田んぼの土の不思議な感触に浸っていました。少しずつ慣れて、一人1列、20センチ間隔で苗を植えていったのでした。
転ばないように気をつけながら、ゆっくり田んぼの中を進みます。
せーの、で苗を植えはじめます。でも中には田んぼに尻もちをついてしまった生徒も。
「自然あそび」では、草の葉を使った草笛に挑戦します。最初は思うように音が出ませんが、適度に力をぬいて吹くと音が出やすいようです。
あるグループが田んぼの周りでヘビの死がいを見つけました。自然観察の先生に促されると、気味悪がっていた子どもたちも次々触り始めます。ノビル(野蒜)をかじったり、タンポポをルーペでのぞいたり。自然を通じて家族のふれ合いもできました。
「ママ、音でたよ!」うまく音が出た瞬間は、みんな大はしゃぎ。
自然観察指導の先生方は、経験豊富なベテラン揃い。子どもをどんどん自然に引き込みます。
田んぼに雑草が少なかったため、「草取り体験」は「泥んこかき混ぜ体験」に。泥をかき混ぜてイネの根に空気を入れ、イネを元気にするのです。田んぼに入ると子どもは早速、ザリガニやヤゴなど、田んぼの中の生き物を夢中で追いかけ始めました。おかげで田んぼの中に、たくさん空気が入ったようです。
泥んこかき混ぜ終了後、イネの高さを測ると32センチになっていました。
わー、根がしっかり張っているね!
田んぼにたっぷり空気を入れました。おいしいお米になりますように!
「田んぼあそび」ではかかし作りに取り組みます。どんなかかしにするか、家族ごとに準備してきました。難しい作業もありましたが、草をいっぱい詰めてふっくらした顔のかかしを作る親子や、てきぱきと作業するお父さんを手伝う子どもなど、どの家族もチームワークが絶妙です。できあがったかかしを田んぼに立てると、かかしたちがとても誇らしげに見えました。
草をたっぷり詰めて、まるまるした顔ができました。
できあがったかかしを持って、田んぼにGO! 個性豊かなかかしの行進です。
無事にイネがたわわに実りました。農家の方からカマの使い方を教わり、お待ちかねの稲刈り開始です! はじめはおっかなびっくりの子どもたちも、すぐに慣れて上手に刈っていました。
刈ったイネはワラで縛り、「ハザ」にかけて乾燥させます。この「ハザ」 は通常木組みですが、この地方は竹が多く、竹で組んでいます。ハザカケが終わると稲刈り終了。みんなで記念写真を撮りました。
サクサクとイネを刈る生徒さん。「コツをつかめば簡単だよ」
30年くらい前はハザカケでイネを天日干しにしましたが、今はすべて機械で乾燥させます。
「自然観察」の楽しみの一つ、草花遊び。特に人気だったのが、カタバミの10円玉磨きです。カタバミを揉んでこすると、10円玉がピカピカになるのです。「あっきれいになった!」と、子どもたちは大騒ぎ。
続いてワラを使った和紙作りにも挑戦です。作った紙は、みんなで育てたお米でつくるお酒のラベルにします。繊維の厚みが均等になったら木枠からはずし、乾かして完成です。(176)
カタバミを口に含むとかなり強い酸味が。「うわぁすっぱい。レモンみたい」。
繊維を細かくした「ワラ玉」を水に溶かし、ハガキ大の金網を木枠に挟んだもので繊維をすくいます。
今日は宝酒造の工場で体験学習を行います。“こも樽”を通して日本のお酒の文化を学んだり、お酒づくりに欠かせない微生物について、肉眼では見ることのできない科学の世界から学びました。そして昼食には、一年間育てたお米を食べる“おにぎりパーティー”を開催。自分たちが作ったお米でおにぎりを自分で作ることで、普段は意識していないお米の味を再認識したのでした。
「どんなふうに見える?」 顕微鏡で麹の様子を観察します。
自分で育てたお米を食べる感動と喜びで、大人も子供も笑顔いっぱいでした。
子どもたちが<収穫編>の“紙すき”プログラムですいた和紙で、2月にできるお酒のラベルをつくっている間、大人は日本酒の知識ときき酒の方法を学びます。普段飲んでいる日本酒の味は、他と比べてどう違うかなど、宝酒造の『松竹梅』を味わいながら5種類の日本酒を飲み比べました。「2月に届くお酒が今からとっても楽しみです」と、お父さん・お母さんにも大好評でした。
すてきなラベルに思わずにっこり。「ケロッ田のイラスト、上手にかけたでしょ?」
大人だけで仲良く味を確かめあうなど、いつもの学校とは違う雰囲気でした。